特集 看護に役立つ東洋医学の方法
東洋医学と気功—その根底にある思想
津村 喬
1
1関西気功協会
pp.402-405
発行日 1991年5月1日
Published Date 1991/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900381
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「全体」の医学
日本で東洋医学というと普通は中国医学のことを指しますが,東洋にはアーユルヴェーダと呼ばれるインド医学のすばらしい体系もありますし,中国医学やインド医学ほど研究されていないけれども,同様に豊かな世界を持つチベット医学やモンゴル医学,イスラム医学もあります.韓国には中国医学を独自に展開した「四象医学」がありますし,私たちの関西気功協会は「アイヌ自然医学研修旅行」をすでに2回やり,また今年は「沖縄自然医学シンポジウム」を計画していて,これらも東洋医学ということができます.
ヨーロッパ医学が普遍的なものだという考えを捨てれば,大きな国家を作らなかった先住民族の中に実に多様で豊富な癒しの文化があることが分かります.今日,世界中でシャマニズムの見直しが進んでいるのも,それが人間まるごとの癒しの知恵であったという観点からです.完成された論理的体系を持つ中国医学やインド医学も世界のシャマン文化の中で位置づけてみると,そのもっと深い本質が見えてきます.しかし今そのような方向で論議する用意がないので,中国医学に限定して話を進めます.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.