現場から
頸椎手術後の患者の苦痛に対する看護介入―第1病日よりギャッチアップを促して
及川 沙織
1
,
菅川 優子
1
,
阿部 京子
1
,
中村 友子
1
,
森田 明子
1
,
福島 裕子
2
1盛岡赤十字病院
2岩手県立大学看護部
pp.1138-1140
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100819
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頸椎手術後は,神経症状の悪化を防ぐため頸部の安静が重要であり,頸椎の可動性と荷重が制限される.当病棟では,頸椎の術後は頭部から頸部まで固定枕で固定し,その間患者は仰臥位を強いられる.術当日は仰臥位のみ,第1病日は15度のギャッチアップが可能となる.患者は自分で寝返りをうつことができないため,側臥位は看護師3名の介助で行なわれる.第4病日から60-90度のギャッチアップが可能となり,端座位・歩行器歩行へと進めていく.経過の良好な患者は第4-5病日,平均して1週間程度で歩行開始となる.
離床までの間,患者より不眠や「苦しい」などの訴えが多く,さらには幻覚や不穏状態の出現する例があった.患者の苦痛緩和に向けた取り組みとして,以前より患者・スタッフより声の上がっていた頸椎枕(当病棟では馬蹄形の枕を使用)の改良に取り組むこととした.しかし,医師と協議していくなかで,術後早期からギャッチアップすることが可能であり,それが患者にとってより苦痛緩和に近づくと考えた.
寺島ら1)は「頸椎の手術を受けた患者は,床上安静が強いられるために,身体的・精神的影響が大きく関与している.身体的には疼痛,感覚異常,それに伴う不眠,精神的には性格やこれまで経験したことのないICUでの生活,視野の制限などから不安が増強され,せん妄状態へと移行し,不穏症状に陥る1つの誘因と考えられる」と述べている.
そこで我々は,術後患者の仰臥位安静が頸椎術後の患者にとての身体的・精神的におよぼす影響が大きいと考え,苦痛緩和に向けた看護介入として,第1病日からギャッチアップを導入し若干の知見を得たので報告する.
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