特集 ナースが病棟で行なう 呼吸リハの理論と実践
呼吸リハビリテーションと看護―その意義と適応
佐野 裕子
1
1山王病院リハビリテーション
pp.730-733
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100500
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はじめに
近年,臨床の場面で,「呼吸ケア」にとどまらず,「呼吸リハビリテーション」(以下,呼吸リハ)に対する意識が高まってきている.
この背景には,欧米をはじめとして,本邦も含め,世界的に慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)が増加の傾向にあること,さらにはさまざまな原因による呼吸不全患者や,術後呼吸器合併症,誤嚥性肺炎など,ICUや病棟,外来など多くの場面で呼吸器疾患にかかわる機会が増えていることが起因していると思われる.加えて,1985年には在宅酸素療法が,1990年には在宅人工呼吸療法が医療保険適応となり,在宅医療の現場でも呼吸ケアが急速に発展してきたことも,この理由の1つであろう.
私たちは,日常あたりまえのように「陰圧呼吸」を行なっている.「陰圧呼吸」がなんらかの原因で障害され,呼吸に苦しむ患者を目の前にして,看護師は具体的にどのような支援を展開していけばよいのだろうか.呼吸リハの理論に基づき,その「エッセンス」を看護に取り入れることは,きっと役に立つはずである.
本特集では,看護に取り入れやすい「用手的呼吸介助手技(breathing assist)」を中心に呼吸リハの知識と実践を解説する.その前文として本稿が呼吸リハに興味をもっていただくきっかけになれば幸いである.
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