特集 ナースが病棟で行なう 呼吸リハの理論と実践
―呼吸リハをする前に―呼吸理学療法のためのフィジカルアセスメント
森沢 知之
1
,
佐野 裕子
2
1国際医療福祉病院リハビリテーション室
2山王病院リハビリテーション
pp.734-740
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100501
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
呼吸理学療法を効果的に行なうために最も重要なのは,患者の呼吸状態のフィジカルアセスメント(理学所見)を正確に行なうことである.誤ったアセスメントは,その後の治療の効果に反映されないばかりか,かえって症状の悪化を招く危険性がある.
アセスメントは,治療手技の決定および治療効果の評価のためにたいへん重要である.また,X線検査や血液ガス値の結果を待つまでもなく,リアルタイムに多くの情報を得られる.
呼吸不全状態では,呼吸障害の代償として多くの特異的な呼吸パターンを呈する.その所見はX線や血液ガス値に先行して現われるため,注意深くこれを観察することによって,迅速に対応し症状の悪化を未然に防ぐことも可能である.X線所見や血液ガス値の結果を待ってからでは「時すでに遅し」という場合も少なくない.患者の経過とフィジカルアセスメントの結果から積極的に治療を開始しなければならない.
本稿では,適切に呼吸理学療法を行なうために必要な呼吸器のアセスメント項目を,見る(視診),触れる(触診),打つ(打診),聴く(聴診)の4つの評価方法に沿って解説する.これらの方法は,繰り返し練習することによって,患者への負担を最小限にし,迅速かつ正確に異常所見を捉えることができるようになる.本稿を参考にぜひ練習を重ねてほしい.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.