連載 糖尿病advanced care―合併症を持つ人へのアプローチ⑧
思春期の1型糖尿病患者―「病気についてこんなに話すことができたのは初めて」
小長谷 百絵
1
,
土屋 陽子
2
,
患者教育研究会
1東京女子医科大学看護学部
2岩手県立大学看護学部
pp.767-772
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100357
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ねらい
1型糖尿病は小児期に多く発症し,血糖コントロールを行なわないと将来,心臓,腎臓,眼,神経等に合併症が起こる慢性疾患の一つです.糖尿病の発症とその後の血糖管理は,子ども本人の苦痛はもとより,子どもを支援する家族にとっても多大な精神的負担となっています.一日に数回行なわなければならない血糖自己測定(以下,SMBG)の値に親は一喜一憂し,血糖値によってはインスリンの量と食事の工夫をしなくてはなりません.そのうえ,子どもの糖尿病の治療はその子の身体的・情緒的な成熟度に対応しなければならず,大人の血糖コントロールより難しいといわれています.さらに,思春期という時期を迎えると,身体的発達と精神的発達の不均衡ゆえに子どもは情緒が不安定になり,自主性の発達に伴うおとな社会や権威主義への反発など,一生の間で最も変化の著しい時期を糖尿病とともに乗り越えなくてはなりません.
今回は,学童期には親子で行なってきた血糖コントロールを,子ども自身で自己コントロールする移行期における葛藤を看護師がキャッチして的確に援助した実践事例を,「看護職者の教育的関わりモデル」の要素の〈とっかかり/手がかり言動とその直感的解釈〉の場面に沿って紹介します.
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