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はじめに
現代の保健医療の現場では,人間の尊厳や個々人の価値観を尊重したケアが求められており,助産師にもその機能や役割,責任において特定の専門能力が期待されている。助産実践に必要な基本的知識・技術・態度の指針として,ACNM(The American College of Nurse-Midwives)は1997年に,「The Core Competencies For Basic Midwifery Practice」を発表し1),国際助産師連盟(International Confederation of Midwives:ICM)も1999年5月の第25回ICMマニラ大会において「International Confederation of Midwives Essential Competencies」を採択した。
わが国においても,「日本の助産婦が持つべき実践能力と責任範囲」2)が示されているが,これは,日本助産学会が助産師の将来あるべき姿を想定し,それに基づき今後に向けての活動内容や範囲を提言したものである。したがって,「日本の助産婦が持つべき実践能力と責任範囲」に示された内容が,現在の助産師活動の実態に即しているとは言い切れない。
筆者らは,幸運にも日本助産学会より平成12年度日本助産学会委託研究助成を受け,日本の助産師が「日本の助産婦が持つべき実践能力と責任範囲」をどのように認識しているのかを調査する機会を得た。また,本年3月には第16回日本助産学会学術集会において調査結果を報告し,多くの方々より貴重なご意見やご示唆をいただいた。
筆者らは,本稿を以上の活動の延長線上に位置づけると同時に,わが国の助産師諸氏に本調査の結果を広くご理解いただき,実践現場を変革するための基礎資料としていただきたいと考えている。
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