ケースレポート
頸髄損傷女性の2回の妊娠・分娩ケアの実際
青木 恒子
1
1国立嬉野病院産婦人科病棟
pp.70-75
発行日 2002年1月25日
Published Date 2002/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902803
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はじめに
近年,交通事故やスポーツ事故等の増加にともない青年の脊髄損傷が増加傾向にある。女性が受傷した場合,妊娠期や分娩時に流早産・尿路感染・分娩予知困難・褥瘡等の様々な問題が生じる。育児上も困難な問題が起こりうる。
なかでも分娩時は自律神経過反射(Autonomic-hyperreflexia:以下AHと略す)の予防が最も重要となる。AHはTh5-6以上の脊髄損傷患者の約85%に起こるといわれ,その発生機序であるが,損傷部位より下部の場所で刺激を受けた交感神経の反射を,上位の視床下部でコントロールできなくなることから起きる。発作性高血圧,頭痛,顔面紅潮,発汗,鳥肌,胸内苦悶,徐脈,散瞳等の多彩な症状を呈するのが特徴である1)。
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