Japanese
English
研究と報告
頸髄損傷者の妊娠分娩
Pregnancy and Labour in Tetraplegia.
吉村 理
1
,
斉藤 仲道
2
,
馬場 将夫
3
,
緒方 甫
4
Osamu Yoshimura
1
,
Nakamichi Saito
2
,
Masao Baba
3
,
Hajime Ogata
4
1九州労災病院リハビリテーション診療科
2九州労災病院産婦人科
3別府リハビリテーションセンター
4産業医科大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Kyushu Rosai Hospital.
2Department of Obstetrics and Gynecology.
3Beppu Rehabilitation Center.
4Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health.
キーワード:
頸髄損傷
,
妊娠分娩
Keyword:
頸髄損傷
,
妊娠分娩
pp.197-201
発行日 1987年3月10日
Published Date 1987/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106477
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はじめに
近年先進諸国の脊髄損傷発生数は,年間人口100万人あたり15~20人とされ青年の発生が多く,したがって脊髄損傷者の妊娠分娩例も欧米ではかなりの報告1~6)があるが本邦7~10)では少ない.1973年Guttmann11)は過去20年間のStoke Mandeville病院での経験をのべ,26例の脊髄損傷の母親から39例の妊娠分娩があり,このうち経膣分娩21例,鉗子分娩15例,帝王切開3例を報告し脊髄損傷者といえども経膣分娩可能であり,帝王切開は純産科学的適応にかぎるとしている.
脊髄損傷者の妊娠分娩においては,貧血,尿路感染症,呼吸障害,深部静脈血栓,褥瘡,早産,妊娠予知困難など多くの問題があり,このほか第6胸髄損傷より高位の脊髄損傷者では妊娠分娩を引きがねとする自律神経過反射が重要である.
2例の頸髄損傷者の妊娠分娩を経験したので経過とともに自律神経過反射12~14)についてのべる.
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