特集 ピル解禁.避妊法のエキスパートになろう
ピルのもたらす医療改革—女性のQOL向上に向けて
芦田 みどり
pp.925-930
発行日 1999年11月25日
Published Date 1999/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902279
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ピルに対する認識—先進各国の比較
ようやく日本でもピルが使えるようになったことは喜ばしいが,ピルがあっても,必要な女性が正しく使えなくては意味がない。ピルは病気の治療のためでなく,「生活の質(QOL)改善」のために開発された世界で最初の薬であった。こうした薬をきちんと使うためには,病気の治療よりもさらにきめ細かな医療サービスが必要なのである。
日本を除く先進国では,ほぼ40年にわたってピルをはじめとする近代的避妊法が使われてきた。しかし,1980年代後半に先進国でも予定外の妊娠や中絶に非常に大きな差があることが注目され,以来,数々の国際比較調査が行なわれてきた。たとえば,アメリカ,カナダ,オランダでは表1のような差がある1)。とくにアメリカとオランダで中絶率は4倍,予定外の妊娠の比率はほぼ10倍もの開きがある。同じような避妊法を用いていながら,なぜこのような違いがあるのだろうか。
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