巻頭言
精神医療の改革に向けて
更井 啓介
1
1広島大学医学部神経精神医学
pp.1238-1239
発行日 1989年12月15日
Published Date 1989/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204810
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最近日常臨床で感じるのは,軽症例の増加である。ことにうつ病では身体症状を主に訴える患者が増えたので,見学生は「内科に似てますね」と言う。これは精神科外来医療が一般医療に近づいたことを示す。しかし,予約をしながら,受診時に「精神科」の看板を見たとたんに帰る人もいる。それは精神科への偏見が,なお支配しているためと思われる。
プライマリー・ケア医師の養成をめざす厚生省の要望に応えて,文部省も大学病院に総合外来を開設している。神経症を含めて軽症精神障害者はここへの受診を好むが,精神科医がそこにいなければ,精神科に紹介される。ところが,上記のように,すぐ精神科へは受診しない人がいる。更なる啓蒙を要する。
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