特集 出生前診断と助産婦
障害をもつ子の受けとめ方:基本は普通の子
長谷川 知子
1
1静岡県立こども病院遺伝染色体科
pp.386-391
発行日 1999年5月25日
Published Date 1999/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902165
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
赤ちゃんに障害があったときには
今,爆発的に売れている『五体不満足』という本がある。これは両上下肢が生まれつき無い青年の自伝で,この不況の世に「勇気づけられる」メッセージとして,多くの人に読まれている1)。「障害者」が「健常者」を癒すというのは珍しいことではなく,ダウン症の人をダウン症の青年が演じたフランス映画「八日目」もそのテーマで作られている。
赤ちゃんが生まれるとき「五体満足であってほしい」と親が思うのは自然なことであろう,しかしそれは,そうあるべきという意味とは違う,単に漠然とした心情なのである。赤ちゃんが生まれたとき,親はまず自分たちと共通のところに目をやり,それ以上の「優れたところ」も探す。それが意に反して,自分たちにとって異質なものであったとき,それも子どものほうが「劣っている」と感じたとき,親はショックと絶望感をおぼえ,次に「まさか,そんなはずはない」などという拒絶感(否認)をおぼえる2)。将来のことにまで思いを巡らせると不安は大きくなっていく。
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.