特集 母子感染—最新知見と対応
行政の対応
大原 賢了
1
1厚生省児童家庭局母子衛生課
pp.964-968
発行日 1991年11月25日
Published Date 1991/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900446
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母子感染予防について
妊婦に罹患したある種の病原微生物は妊娠,分娩,授乳の経過で胎児,新生児,乳児に移行し,さまざまな病態を示すことがあるが,このうち母あるいは児に適切な処置・治療を施すことにより,児への感染を未然に防ぐことが可能なものについては,できるかぎり予防処置を行うことが重要であると考えられる。中でも,感染により将来重篤な障害あるいは難治性の疾患をきたすようなものに関しては,特に児の健全な発育と将来の疾病予防という観点からより慎重な取り扱いが必要であろう。
このようないわゆる母子感染の防止対策については,妊婦管理の一環として各医療機関において医師の管理のもとで行われているのが一般的であるが,現在の医療技術ではあらゆる母子感染に対して確実な予防処置が確立されているとはいえず,今後とも医療技術の向上を図り母子感染の防止に努める必要がある。
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