特集 母子感染—最新知見と対応
風疹ウイルス
山崎 峰夫
1
,
望月 眞人
1
1神戸大学医学部産科婦人科学
pp.969-974
発行日 1991年11月25日
Published Date 1991/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900447
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はじめに
妊婦が風疹に罹患すると,白内障,心疾患,難聴を3主徴とする先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)をもつ児の生まれる可能性がある。このことは今日,一般にも広く知られるところとなり,妊婦の関心も高い。
1977年(昭和52年)より,日本では中学生女子を対象とした風疹生ワクチンの接種が開始されたことより,近年では風疹抗体を有する妊婦が多数を占めるようになった。しかし,このワクチン接種は,全小児を対象として,疫学的に風疹の流行そのものの防止をねらったものではない。したがって,ワクチン未接種例や,ワクチン接種後抗体未獲得例などでは依然,風疹に罹患することで,CRSを発症する可能性が残っており,このような女性の数は決して少数ではない。抗体獲得後の再感染の問題も含め,妊娠中の風疹感染の問題は今なお,産科管理上重要なものの一つといえよう。本稿ではこれらについて私見を述べる。
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