研究・調査・報告
極小未熟児の早期器外保育を試みて
田辺 圭子
1
1東北大学医学部付属病院分娩部
pp.420-424
発行日 1991年5月25日
Published Date 1991/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900323
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はじめに
近年の新生児未熟児医療の発達,とりわけNICUにおける集中医療の進歩は,より未熟でより重症な児の生存を可能としている。特に最近では,単なる生存ではなく,後遺症なき生存intactsurvivalを目標とした医療に最大の努力が払われるようになった。しかしこのことは,同時に児の入院を長期化させる傾向をもたらし,これによってひきおこされる長期母児分離が新たな問題となってきた。
母児関係はすでに妊娠中より少しずつ育まれているとされ,出生という母児双方にとっても大きな出来事を通し,より具体的なものとして相互に獲得されていく。それゆえに母児が出生直後より分離されることは,母児関係の確立において極めて異常な事態であり,まさに後遺症なき生存を目的とするうえで重要視されなければならないひとつの点であろう。
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