連載 アメリカ母子保健活動の金字塔・5
メアリー・ブレッキンリッジとフロンティア・ナーシング・サービス
小玉 香津子
1
,
尾田 葉子
2
,
Nancy Dammann
1神奈川県立衛生短期大学
2日本看護協会
pp.866-869
発行日 1989年10月25日
Published Date 1989/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207711
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Ⅵ.大恐慌,そして旱魃
フロンティア・ナーシング・サービス(FNS)は外部から提供される資金で運営されていたが,その資金供給が株式市場の崩壊後は途絶えてしまった。そういう事情もあって,FNSのスタッフはレスリー郡の多くの人々よりも大恐慌を深刻に受けとめていた。それにまた,FNSの助産婦たちは,温かくて着心地のよい衣服と栄養豊かな食事は当然のものと考える中流家庭の出であった。すりきれたおさがりの服を着た裸足の子どもたちに出会ったことは,彼らにとってショッキングな経験であった。
FNSは,建物の建設や増築のためにお金が必要だった。資金集めには,1部屋しかない丸太小屋,ぼろを着た子どもたちや栄養不良のことを書いたり写真で知らせるのが,裕福な人たちに訴える効果的な方法であった。しかし,このやり方を不愉快に思う住民たちもいた。ある教師はこう訴えた。
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