映画の時間
—「不幸」に抱かれ,「死」に口づけられ,世紀の傑作を産んだ.—メアリーの総て
桜山 豊夫
pp.75
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209063
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「フランケンシュタイン」というと,1931年の映画でボリス・カーロフが演じた,首からボルトが突き出ていて,全身に縫い目がある四角い頭の怪物をイメージする方が多いと思います.日本でも東宝の特撮映画にフランケンシュタインが登場する作品がありますが,ボリス・カーロフのメーキャップとは異なる造形でした.今月ご紹介する映画は,この「フランケンシュタイン」の原作者メアリー・シェリーの人生を描いています.
19世紀初頭,16歳のメアリー・ゴドウィン,後のメアリー・シェリー(エル・ファニング)は,書店を営む作家の父と継母,妹たちと暮らしています.メアリーの実の母は彼女が生まれた時に亡くなっており,その墓にもたれて小説の構想を練る文学少女です.亡くなった母は当時,女性の権利拡大を主張した思想家で,父も作家・思想家として名をなしていましたが,生活は楽ではありません.
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