特集 アタッチメントの形成
心理臨床からみた母子関係について
青木 真理
1
,
山中 康裕
1
1京都大学教育学部臨床心理学教室
pp.361-366
発行日 1989年5月25日
Published Date 1989/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207611
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はじめに
筆者らは常日頃,子どもの「こころ」の臨床にたずさわっている。私どものもとにやってくる子どもたちをみると,その症状や行動異常など表現型はさまざまであるものの,基本的な存在の根本にかかわる不安や不信感が見出されることが多い。そして,それらには,たとえばボウルビイ(Bowlby)の見出したアタッチメント(attachment)がうまく形成されていなかった可能性の考えられるものもある。ここに本誌において,このアタッチメントにかかわる諸問題について,筆者らに心理臨床の観点から光をあてて,この間題を再考しつつ論ずる場を与えられたので,以下に若干の考察を試みることにしたい。
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