特集 母子関係
精神保健と母子関係
横山 桂子
1,2
Keiko YOKOYAMA
1,2
1大阪薫英女子短期大学児童教育学科
2阪本病院
pp.686-692
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207550
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■はじめに
最近,家族の危機とか家庭崩壊ということばに関心が向けられ,多くの研究や著書が発表されている.この事実が示すように,現代社会では家族の様相が大きく変貌し,それに伴って母子関係のあり方にも変化がみられはじめた.臨床活動のなかで,家族内人間関係の建て直しを試みたり,子どもの成長発達に望まれる母親の役割取得を指導する時,変わりようのない厳然たる家庭の崩壊や母性性の喪失の現象に出会い,がく然とさせられることはそれほど珍しいことではない.
このような状況において,現代的課題としての精神保健と母子関係の問題を,つぎの観点から取り上げてみたいと思う.第1に,社会変動のなかで現代家族がどのような状態に置かれ,それを背景として母子関係がどのように変貌しつつあるか.第2に,精神保健活動で最も問題となる分裂病者の母子関係について.第3に,母子関係を理解するための視点について.
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