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講座
障害児と母子関係 6.聴覚障害児における母子関係
Disabled Children and Mother-Child Relationship. 6. Relationship between Mother and Child with Hearing Impairment
金山 千代子
1
Chiyoko KANAYAMA
1
1小林理学研究所
1Kobayasi Institute of Physical Research.
pp.859-864
発行日 1982年12月15日
Published Date 1982/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102761
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はじめに
聴覚障害児の早期発見は,近年次第にシステム化されつつあり,現在ではO~1歳台における失聴発見と同時に教育を開始している例も珍しいことではない.
しかも,0~1歳台から3歳に至る早期教育は,従来の学校教育における“教師が子どもを教育する”といった形態や方法ではなく,あくまでも,“母と子”の愛着行為を基本とした養育を主体としながら,障害への補償や障害を克服していくための,全人格的な教育を目指すことにある.
したがって,聴覚障害児の早期教育,つまり幼児期の教育は,両親や母親の協力なくしては,その可能性を期待することが困難と言われており,事実,母親達の努力は何人の力にもまさるものがあり,大きな効果をもたらしている.
しかし,その大きな可能性を目指して努力する,母と子のほとんどがさまざまな試行錯誤の中で苦闘する日々の多いことを見逃してはならない.聴覚障害幼児の母子関係は,早期教育の内容や方法を確立していくための,バロメーターとしての役割を持っているとも考えられる.
今回は,ひとりの聴覚障害児の早期教育の経過の中で見られた,母子間の問題点を中心として,その問題が実際にどのような状況の中でどのような形となって現われるものか,またそうした問題点を,どのように解決していくべきかを明らかにしたいと考えた.
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