連載 話の聴ける助産婦になるために・3
カウンセリングによる心の理解
文化と心を理解する
大須賀 克己
1
1日本グロースセンターカウンセリング研究所
pp.511-515
発行日 1988年6月25日
Published Date 1988/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207406
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
科学的理解と人間的アプローチ
前回においてはカウンセリングの発展的過程についてお話しをしました。そこには二つの流れがあって,人間のかかえる問題を援助するためにはその当人についてのさまざまな情報を得て,その内容を吟味するといったアプローチが一つです。つまり,物事を分析的に観察して,その人にとって最もよい生き方を発見するために援助することです。もう一つは,「クライエント中心療法」といわれるようなカウンセリングの人間学的アプローチです。
ここに述べられた二つの流れは,私たちが日常当面する人間に対する見方でもあります。つまり,一つにはある人が困難に当面している時に,それについてどうしたらよいかを,徹底的に分析的方法で考えていくことも必要です。しかし,そのような細かな事柄をいかに掘り起こそうとも,全体で生きている一個人の問題解決には,それほど大きな力にはならないこともあります。むしろ分析的でなく,大きく受けとりながら一人の人間として話を聞いていく間に,相手の人はいろいろなことに気づき,結局は問題がおのずから解消していくことが非常に多いのです。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.