特集 教養・基礎科目をとらえ直す
人間の多様な生き方を学ぶ―異文化を理解するための文化人類学
波平 恵美子
1
1お茶の水女子大学
pp.1078-1084
発行日 2020年12月25日
Published Date 2020/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201621
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
私には、看護教育とは「かかわり」というよりも「ご縁」という表現がふさわしいほど、長くて深いかかわりがあります。私は修士課程2年生のときから当時の国立病院付属の看護専門学校で、「社会学」という教科目で文化人類学の講義を担当させていただきました。専門学校の教員の方が、当時まだ知る人が少なかった文化人類学の看護教育における重要性を理解しておられ、社会学の教科目で文化人類学を教えることを認めてくださいました。「ご縁」を感じるのは、2020年現在、この看護専門学校の実質的な後身である看護大学で、非常勤講師として文化人類学を講義していることです。教員としての経歴の最初と最後が、看護の専門家を養成する場で文化人類学を担当させていただくことなのは、教育者としても研究者としても冥利に尽きます。
これまで文化人類学や医療人類学については、学校や大学の講義だけでなく、看護の専門家の方々の各種講習会で講師として話す機会が与えられました。そこで受講される方々の質問や感想文をとおして、私自身が看護という行為について多くの学びを経験しています。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.