特別記事
介護現場における「異文化理解」の重要性
渡辺 長
1
,
柳澤 沙也子
2
1帝京科学大学医療科学部理学療法学科
2甲南女子大学大学院看護学科研究科博士前期課程
pp.280-284
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201163
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近年、都市部では、どこに行っても外国人を見かけるようになった。東京では、観光客はもとより、コンビニエンスストア、レストラン、居酒屋、家電量販店などにおいて外国人従業員と接しない日はない。実際、建設業や製造業、農業など多岐にわたる労働分野で、外国人労働者の存在感が日々大きくなっている。国内にはすでに260万人を超える在留外国人がおり、そのうち130万人を超える外国人が実質的な労働に従事し、彼ら抜きでは日本経済が成り立たない状況になっている*1。
2025年までに38万人の人手不足が予想される介護分野においても、外国人介護職の存在が欠かせなくなると考えられる。しかし、これまで受け入れ体制の整備は各施設に一任され、外国人介護職の定着に向け積極的に努力する施設がある一方、ただ「安い労働力」としてみなし、いかに日本の型にはめるかという一方的な視点で扱ってきた施設も少なからず存在する。また、日本人介護職も、外国人介護職が置かれた立場を知ろうとする積極性や、その機会が少ないことから、介護現場では多くのコンフリクトが生じてきたが、それに対する支援政策は十分に構築されていない。
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