連載 とらうべ
文化としての医療
木村 快
1
1現代座
pp.181
発行日 1993年3月25日
Published Date 1993/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900755
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医療にかかわる人々の話を舞台のドラマにしてみたいと思ったのは7年前のことである。医療は誰にとっても身近な問題であり,観客にとってもなじみやすい題材ではないかと安易に考えたのが間違いだった。取材を始めてみると,医療の世界はわたしが考えていたような生やさしいものではなかった。
まず医療従事者から話を聞くこと自体が大変だった。なにしろ24時間体制の過密スケジュールをぬって会う約束をとりつけねばならない。あらためて,医療という世界が苛酷な労働によって支えられている事実と,その結果,医療の世界が一般社会とは切り離された空間にならざるをえなくなっていることを知らされた。
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