私と読書
「母性とは何か」を読んで
平本 浩美
1
1都立荒川産院
pp.450-451
発行日 1987年5月25日
Published Date 1987/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207145
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「母性」を根底から探っていくための格好の書
本誌の今年1月号の特集「母性とはなにか」に触発されて,自分なりの母性を考えてみたくなったちようどその頃,特集と同じタイトルのこの対談集『母性とは何か』を見つけました。1986年10月に発行されたばかりの本だけあって,現代に生きる母性をつかまえようと,幅広く多角的に「母性」が論じられています。
この本の中で7人の対談者と母性を論じている編者の青木やよひさんは,論争華やかな現代フェミニズムの世界において,代表的論客として活躍中の女性です。一方,登場する対談者はその青木さんが"それぞれの専門分野ですぐれた業績をお持ちで,なおかつ現代という時代に鋭い問題意識を持っておられる方という条件で"選んだ方々です。心理学の河合隼雄氏,哲学の中村雄二郎氏,産婦人科学の丸本百合子氏,文化人類学の北沢方邦氏,生物物理学の清水博氏,本誌特集にも執筆された動物学の小原秀雄氏,そして作家の落合恵子氏と,その顔触れは多彩で,それだけに迫力のある母性論となっています。
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