私と読書
「母性を問う 歴史的変遷」を読んで
郡嶋 泰子
1
1名古屋市立中央看護専門学校助産学科
pp.810-811
発行日 1986年9月25日
Published Date 1986/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206962
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呻吟をのりこえ,母性の回復を探る
本書を読みすすめ,最終の章である"構造的育児不能社会の中で──現在の母親の呻吟と本来的な母性の回復をめざして──"と題した部分にさしかかった時,私は,今春職場を去った同僚のことを思い起こした。
彼女は第1子出産のあと職場復帰したが,働き続けたいという希望をもちながら,さまざまな理由で退職していった。去る折に「何が理由とははっきり言えないが,子供に母乳を十分に与えたい,夫とも縁あって結ばれたのだから,面倒をみてあげたい。これ以上,自分の力では仕事を続けていくことができない」と,苦しそうに話した。迷い続けた何か月間であったことは,共に働く私たちにも,痛いほど伝わってきた。
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