連載 私と読書
—看護婦のための産科学・を読んで—新しい母性看護への足がかりに
富樫 アツコ
1
1社会保険中央高等看護学院
pp.285
発行日 1975年5月25日
Published Date 1975/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204865
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周産期における看護や産科学に関する著書は多く紹介されているが,このたび看護の実際面に主眼をおいてまとめられたのがこの本である。私が本書を手にし訳者序と目次を一読した上での印象は,看護に携わる方へ"自ら創り出す看護"への刺激剤になるのではないかということと,学生の参考書として適切な本ではないかということだった。というのは看護は社会構造,人々の生活,風俗,文化を考えてその国に適したものであり,訳者が述べているように,国際交流の中で他の国々のやり方を参考にしながらわが国の実情に合わせた看護を生み出して行かなければならないと考えているからであり,また日々学生指導で苦労しているためである。
内容は全部で第4部から構成されているが,大まかに分けると妊娠編,分娩編,産褥編の3部とみることができる。まず第1部から第2部までが妊娠編で,ここでは生命の始まり,妊娠と妊娠管理について述べられている。なかでも妊娠中の胎児の発育を胎芽期と胎児期に分け,妊婦管理においては妊娠中の健康管理の目的を確認した上で,正常に経過している妊婦の場合と異常経過の場合に分けて述べてあり,わかりやすい。
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