連載 周産期の母子の看護
心理社会的アプローチ・8
妊産婦の母親役割取得過程とその援助
新道 幸恵
1
,
和田 サヨ子
2
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2聖母女子短期大学
pp.1029-1033
発行日 1986年11月25日
Published Date 1986/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207010
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妊産婦の母親役割取得過程
女性が母親の役割を引き受けるということは,子供を抱く,あやす,授乳する,沐浴する等の単なる子供の世話をするということだけでなく,「この子は自分の子供であり,私はこの子の母親である」という自覚のもとに,責任を持ってその子供の世話を引き受け,育てていくことを意味する。
女性が母親役割を実際に担うようになるのは児の出生からであるが,それ以前の妊娠期にすでに,出生後の母親役割の遂行に備えてさまざまな準備がなされる。この妊娠期の準備は,出産後に母親役割が円滑に展開されるためには不可欠なプロセスである。母親役割は,出産後,子供との関わりを深めていくなかで,妊娠中に整えた準備状態を基礎として展開され,取得されていく。したがって,母親役割取得過程は妊娠の自覚(計画妊娠の人はその計画の段階から)と同時に始まるものといえよう。
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