連載 周産期の母子の看護
心理社会的アプローチ・12
妊産褥婦への全体的な援助と家族への対応
新道 幸恵
1
,
和田 サヨ子
2
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2聖母女子短期大学
pp.254-258
発行日 1987年3月25日
Published Date 1987/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207096
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妊産褥婦への全体的な(holistic)援助
これまで,本連載のいくつかの号2〜4)で,妊娠や分娩,育児が直接の当事者である妊産褥婦に,心身の変化のみならず大きな生活の変化をもたらし,その変化がストレスになることを述べてきた。ライフサイクルにおける生活上のストレスを点数化した場合,最大100から最低11までのうちで妊娠では40点に至ると言われている1)。
妊産褥婦がストレスを受け,それに対応する手だてがないほどに困難な状況に陥った場合,その妊産褥婦は危機状態にあると言える5)。妊産褥婦のストレスは,胎児や新生児の存在によって生じる心身の反応や日常生活をはじめとする社会的な変化によってもたらされる。母親となることや,母親であることへの思い,夫やその他の家族の反応に対する妊産褥婦の思い,体つきの変化やそれに対する思い,生理的変化に伴う身体の違和感,妊娠・分娩・産褥経過やそれに対する思い,役割変化に伴う社会生活の変化などが妊産褥婦にはストレスとなるのである。それらのストレスによって妊産褥婦が危機に陥るか否かは,その妊婦がストレスとなる出来事をどのように受けとめるか,また,それに対応する手だてを持っているか否かによる。
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