連載 源流への旅
子産み子育て考・15
介添役(産婆・助産婦)—その役割の原点をたずねて
宮里 和子
1
,
鎌田 久子
2
,
菅沼 ひろ子
3
,
末光 裕子
4
,
坂倉 啓夫
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2成城大学文芸学部(民俗学)
3聖母病院分娩室
4東京江戸川区・教育相談室
pp.519-523
発行日 1986年6月25日
Published Date 1986/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206900
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§はじめに
最近「産婆」という言葉にかぎりない愛着を抱くようになった。それは自分が年をとったことによるのかも知れない。あるいは,私(宮里)の具体的な目標であった今は亡き産婆をしていた叔母への鎮魂なのかも知れない。若い頃は「産婆さん」と呼ばれて憮然としたものであったが,年輪を重ねるということは,公私共にさまざまな経験を経て「見えないものが見えてきたり」するものでもある。「産婆」という名称にこだわっていた頃は,科学的であること,攻撃的,積極的であることを是とし,経験や自然であること,待機的であること,は低レベルのものと考えていたのである。
今回は介添役としての産婆(助産婦)の役割の原点をたずね,産婆から助産婦へ,家庭分娩から施設内分娩への道程のなかで失ったものはなにかを探ってみたい。
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