特別記事 誌上講演
21世紀へ向けての助産婦の役割
近藤 潤子
1
1聖路加看護大学
pp.1027-1033
発行日 1984年12月25日
Published Date 1984/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206561
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
教育の領域では,卒業後10年,20年先に学習者が必要とする能力を育成することの重要性が強調されています。助産婦教育にも同じことがいえるとすると,助産婦教育の課題はますます大きなものになると思います。
ところで,今から8年前,中近東諸国の看護レベルを引き上げ,ひいてはその保健事情を改善するために日本はなにかできないか,ということで,エジプトの看護教育を含む保健事情調査に参加したことがあります。その調査からは,保健事情の改善には「保健婦・助産婦・看護婦を強化することが先決である」という結論が得られました。というのも,調査時点でのエジプトの乳児死亡は1,000人中150人,今から2年前で1,000人中90人,日本では現在1,000人に7人を割ったところですから,最初の調査の段階では,実に日本の20倍もの乳児死亡がみられたからです。赤ちゃんは,下痢からくる脱水で至極かんたんに死んでゆくのです。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.