特集 分娩看護管理
分娩時異常出血と救急対策
舘野 政也
1
1富山県立中央病院医療局産婦人科部
pp.1016-1026
発行日 1984年12月25日
Published Date 1984/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206560
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はじめに
分娩時大出血の予知は,特別な場合たとえば血液疾患などの場合は別として,不可能であるといってよい。しかし,産科ショックといわれるもののなかで,もっとも大きなウエートを占めるものは弛緩出血,前置胎盤,早剥および子宮破裂などの分娩時の大出血である。最近,超音波による胎盤の位置確認や胎盤後血腫などの診断が可能になり,出血に対する準備ができるようになったが,これらは分娩例のごく一部であり,大部分の分娩例では分娩時大出血を予知するわけにはいかない。
また,産科出血の原因は複雑多岐にわたっており,分娩前の種々のチェックが必要となってくる。分娩直後の大出血には血清フィブリノーゲン量の多寡も関与することは事実であり,このフィブリノーゲン量は赤沈値と相関することから,赤沈値によってフィブリノーゲン量の推定,ひいては分娩時出血の予測がある程度可能である。しかし,分娩時出血には他の要因も大きく関与するので,原因の究明も必要であるが,その対策はさらに必要である。以下,分娩時出血の原因と対策について述べてみたいと思う。
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