特集 臨床実習指導--なにを目指すのか
母性看護学実習の現状とそのあり方
山下 タケ子
1
1富山市立看護専門学校
pp.197-200
発行日 1984年3月25日
Published Date 1984/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206412
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はじめに
看護基礎教育における臨床実習の意義について,大串らは,「看護の実践すなわち看護を行なう者と看護される者とのかかわりの過程で,学生が知識・技術の応用展開や対象との触れ合いを通じて,自己をくりのべる場を与えられ,看護の行為者としての主体性が強められる点に臨床実習の意義がある1)」と述べている。これを母性看護について述べると,臨床実習の意義は,看護の対象である母性とのかかわりを通じて,母性看護に必要な知識および技術を習得するとともに,それらを統合し,応用できる能力を身につける,また,その過程で自らも母性としての成長を図りながら,母性看護の分野における看護の主体性を認識すること,となろう。
看護基礎教育における実習時間は,3年課程で1,770時間,2年課程で915時間である。そのうち母性看護学の実習時間は,それぞれ,210時間と130時間である。母性看護の実習はこの限られた時間で展開されており,それだけに多くの問題をかかえているといってよい。今回,看護基礎教育に携わる立場から,母性看護学の臨床実習をすすめていく上での種々の問題点の整理を試みたので報告する。
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