Medical Scope
非免疫性胎児水腫〔1〕
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.434
発行日 1983年5月25日
Published Date 1983/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206244
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胎児水腫hydrops fetalisということばは助産婦であるなら,一度は聞いたことがあるでしょう。妊娠の後半期に急に羊水過多になり,胎児死亡となってしまったり,出生後もすぐに死亡してしまう,全身の著しい浮腫と胸水,腹水のたまった大きい水ぶくれの胎児のことです。その全身像から胎児水腫という名前がついたのですが,最近になって,この胎児水腫をめぐる大変にホットな話題や論文が,世界の周産期医学の雑誌や学会をにぎわせるようになりました。今月から,この話題をゆっくりと時間をかけて解説することにします。
まず,胎児水腫というと私たちの観念では,胎児時代に死亡してしまったり,生まれても絶対に育つことのない先天異常であると考えられてきました。しかし,それが胎児時代の治療や,生後の適切な治療によって立派に生存して成長する道が開け,少数ながら治療の成功例がでてきたのです。これが,先に言ってしまったのですが,胎児水腫に対する最近のホットな話題の結論なのです。
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