Medical Scope
非免疫性胎児水腫〔2〕
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.519
発行日 1983年6月25日
Published Date 1983/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206259
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先月は非免疫性胎児水腫の原因が不明だということと,発生率が高くなってきたことをお話ししました。この発生率が高くなってきたということは,実は胎児水腫という病気の数がふえたのではなく,ごく軽い軽症の胎児水腫もこの疾患名をつけてよぶようになってきたので,その発生率がふえたようにみえるのです。私たちの印象としては,胎児水腫といえば"全身が全くの水ぶくれといった感じでふくれ上り,胸水,腹水がたまっているので胸からお腹にかけてはひどく突出し,顔は眼瞼は浮腫のために開くことはできず,口唇はめくり上り,鼻より頬のほうが高く,頸部はほとんどみられないといった,すさまじい重症の症例を意味していました。実は,このような形の胎児水腫は胎児水腫の最重症型であり,いわば,なれの果ての姿だったのです。胎児水腫のなかには,こんなにひどくならずに生まれてくる症例もあり,ただ全身の浮腫だけのもの,胸水,腹水もたまっていないものも存在していたのです。胎児水腫といえどひとつの疾患,あるいは病態ですので,その疾患の進行過程にあっては,初期も中期も末期もあっていいはずなのです。今まで,私たちはその末期だけをみてきていたのですが,よくみると,その初期で分娩に至るようなケースもあるのがわかってきたのです。
そこで,胎児水腫の程度をまず分類することにしました。
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