Medical Scope
非免疫性胎児水腫〔3〕
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.615
発行日 1983年7月25日
Published Date 1983/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206279
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- 文献概要
胎児水腫の出生前診断は超音波断層法の発展と
ともにもう日常のこととなりました。羊水過多を
合併していますので,まず,羊水過多が疑われた
ら,一度は必ず超音波断層診断を行なうでしょ
う。そして羊水過多を確実に診断し得たら,次は
胎児に奇形や異常がないかどうかをまた超音波断
層診断するでしょう。このときに胎児水腫はもっ
とも発見しやすい胎児の異常なのです。というの
は,超音波は非常に水を通しやすいので,浮腫と
か,胸水,腹水はすぐにみつけることができます。
典型的な胎児水腫例では胸水,腹水がわかり,児
頭の頭皮の浮腫像がよくうつし出されます。こう
すれば,ほぼ全身の水腫・浮腫像がわかり,胎児
水腫の診断は比較的容易にできるのです。
そこで,胎児時代の治療としては,まず早産を
なくすために,羊水穿刺でできるだけ多く羊水を
除去します。1回に2,000ml近くも抜くことが
あります。こうして羊水過多をなくすことは,一
時的であるにしろ子宮内圧を下げるので,早産は
かなり防止できます。そして次に,Rh式血液型
不適合妊娠による胎児溶血性疾患の際の治療とし
て行なわれる子宮内胎児輸血のときと同じよう
に,羊水穿刺の長い針で胎児の腹腔へ穿刺を行な
います。
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