特集 受精革命
生命の原点からみる体外受精問題に対する考察
上田 公代
1
1熊本大学医療技術短大部専攻科助産学特別専攻
pp.36-39
発行日 1983年1月25日
Published Date 1983/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206167
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科学と人間
最近,生命に関与する科学の進歩にはめざましいものがある。特に人間の受精問題について,多方面の研究が続けられ,男女産み分けの自由,体外受精,人間の受精卵の冷凍保存等,近い将来には,生殖管理社会時代が当来するのではなかろうかと感じられるほど,特に医学面には驚くべきものがある。
しかし,人のすばらしい知恵によって解明されていく科学の世界は,過去の例からみると明暗が共存してきた感があり,科学の進歩,即人類の幸福のみにつながるものとは考えられない。輝かしい科学の進歩は,人間が月の世界に足をかけるまで発展している反面,人類に対して一方では,使用を誤れば不幸惨劇をもたらすものでもあり,ちょうど車の両輪のように「幸」と「不幸」の二面性は常にみられるのではないか。
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