研究へのいざない・12
体外受精法
豊田 裕
1
Yutaka Toyoda
1
1北里大学獣医畜産学部家畜育種繁殖学教室
pp.511-517
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205864
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体外受精法は,今や,哺乳類の受精に関する研究手段として欠かせない。受精の過程を直視下に観察できること,および受精の場の環境を研究者の意のままに制御できることが大きな魅力である。しかし,一方では,当然のことながら体外での実験には特有の制約が加わる。第一に,実験操作に手抜かりがある場合には意のままに制御できるどころか,一個の受精卵さえも得られない。事実,ウサギ,マウス,ラット,ゴールデン・ハムスター,チャイニーズ・ハムスター,スナネズミ,モルモット,イヌ,ネコ,リスザルと,種々の実験動物について体外受精の可能性は示されているが,再現性の高い方法が確立されているのは最初に掲げた4種の動物に限られ,さらに体外受精成立の最終的証明である受精卵移植による正常出産の確認は,最初の3種の動物(ウサギ,マウス,ラット)においてのみ得られているのが現状である。しかし,これら3種のいずれの動物においても体外受精卵の胎児または新生児への発生率は体内受精卵には及ばない。
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