特別寄稿
体外受精による妊娠に成功して
星 和彦
1
,
対木 章
1
,
斉藤 晃
1
,
京野 広一
1
,
星合 昊
1
,
平野 睦男
1
,
鈴木 雅洲
1
1東北大学医学部産科婦人科学教室
pp.666-671
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206291
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はじめに
世界初の"体外受精児"であるルイーズ・ブラウンちゃんが,マンチェスター(イギリス)郊外の病院で歴史的な産声をあげたのは1978年(昭和53年)7月25日のことであった。それ以来5年間でイギリス,オーストラリア,アメリカ,オーストリア,西ドイツ,フランス,カナダ,チェコスロバキア,イスラエルなど世界十数カ国で200名以上の"体外受精児"が誕生しており,約500名が妊娠中と伝えられている。
当初,イギリスで"テスト・チューブ・ベビー(test-tube baby)"と呼ばれ,日本でもそのまま"試験管ベビー"と訳されてきた体外受精児の名称も,不妊症治療の一環として確立した欧米においては"small miracles of Love and Science(愛と科学の力による奇跡の赤ちゃん)"と雑誌の見出しに掲げられるようになり,社会的コンセンサスを得るようになってきた。
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