Medical Scope
分娩発来機構[3]
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.785
発行日 1982年9月25日
Published Date 1982/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206093
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今月は臨床的な面での分娩発来機構に関する最近の知見を解説してみようと思います。一般に分娩を誘発するときに用いる薬剤というもののなかには,今日ではオキシトシンとプロスタグランディンの二つがあります。この両者は子宮筋に対する収縮の作用の形態が異なっています。オキシトシンは子宮収縮の間隔をつめることにその作用の特徴があるようです。つまり,子宮収縮,陣痛をより頻回に起こそうというときはオキシトシンの投与により,その効果を期待することができるようです。また,プロスタグランディンのほうは子宮収縮の間隔を短くするというより,1回の子宮収縮の圧力の強さを強くすることにその作用の特徴があります。ですから,1回の子宮収縮が弱いのに,回数は割合にきているような分娩でそれを少し強くしようと考えるならプロスタグランディンの投与が有効であろうと思われます。
そこで,この両者を一緒にして同時に投与したらどうなるでしょうか。臨床的に現在行なわれているのは,5%のブドー糖500mlに2単位のオキシトシンと1,000γのプロスタグランディンF2αをまぜて点滴静注する方法ですが,これだとお互いの作用の特徴が現われて,子宮収縮の間隔も短くなるし,1回の収縮力も強くなることがわかりました。しかし,これで全て分娩誘発が解決したわけではありません。
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