Medical Scope
分娩発来機構[1]
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.518
発行日 1982年6月25日
Published Date 1982/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206043
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妊娠末期になって陣痛が発来し分娩に至るには,生体内でどのような生化学的変化が起きれば生じ得るのか,また,なぜ妊娠中期には陣痛が起きて分娩になるケースが少ないのか,そのへんのヒトの生体内での機構はどうなっているのだろうか,こんな産科学の原点であるような課題が今日まであまり解明されていませんでした。何万年も前からヒトの生殖現象はつづいて人類は繁栄しているのに,その出発点である陣痛はどのようなメカニズムで起こるのか……という疑問に対して,多くの仮説はあったものの,本格的に解明され始めたのはプロスタグランディンの発見以来という,ここ10年前からなのです。そして,今年の4月4日から4日間にわたり,神戸市において,神戸大学の東條伸平先生主催のもとに開かれた第34回日本産科婦人科学会では,この分娩発来機構がメイン・テーマにとりあげられ,著名な外国の学者2名の講演やらシンポジウムが行なわれました。ここしばらく,Medical Scopeもその話題を少しずつ解説したいと思います。実は,ここに述べるようなことは,助産婦学生の教科書にも記述されるべきなのですが,今のところ残念ながらそのようなものが見当りません。しかし,今日勉強している多くのドクターたちの間では,常識的になっています。もしはじめて聞くような内容であったら,その間の医学の進歩を見直して下さい。
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