産科内分泌学入門・3
妊娠の維持と分娩の発来[2]—分娩の発来—胎児からの信号
安水 洸彦
1
,
加藤 順三
1
1山梨医科大学産婦人科
pp.507-512
発行日 1983年6月25日
Published Date 1983/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206257
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分娩発来機序の研究の歴史
1933年,イギリスのリバプールで無脳児*1妊娠と過期産との関係を調査したマルパス1)は,「分娩発来の時期を決めるのは胎児であり,その中でも中心的な役割をするのが胎児の副腎—下垂体—神経系だろう」と推察した。彼のこのアイデアは非常に画期的で,分娩発来機序の研究の先駆けとなるものであった。
しかし,当時の産科領域では,妊娠・分娩時の母体の危険をいかに軽減させるかということがまだ大問題であって,「分娩発来の仕組み」という抽象的で,わかりにくい課題にはそれほど興味が示されなかった。
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