明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 子宮
Ⅰ.体部頸部
プロスタグランディンと分娩発来機序
高木 繁夫
1
,
田 根培
1
,
深沢 雅典
1
Shigeo Takagi
1
,
Konbai Den
1
,
Masanori Fukazawa
1
1日本大学医学部産科学婦人科学教室
pp.405-411
発行日 1984年5月10日
Published Date 1984/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206994
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ヒトの分娩発来にプロスタグランディンス(PGs)が関与するとの根拠は,①分娩時,血中あるいは羊水中濃度が上昇,②いずれの妊娠時期においてもPGs投与によって分娩(流・早産)が発来し,③PGs生成阻害剤の投与によって子宮収縮が抑制され,分娩が遷延し,④子宮組織中にもPGsは存在しまた生成される,とすることにある。周知のごとく,ヒト妊娠時の主要なPGsの生成部位は羊膜・脱落膜にあって1),妊娠経過とともにその生合成容量は増大し,分娩発来に際しては,①子宮の収縮刺激,②律動収縮の調節,③オキシトシン(OXT)作用の伝達,あるいは亢進,④頸管熟化,などに与かるとされている。事実,合成PGs (プロスタルモンE2など)の投与によって分娩(陣痛)が起こる一方,アスピリン服用により分娩開始は遅延し,分娩経過も遷延するし,またインドメタシンによっても子宮筋活性は抑制され,分娩発来が遷延し,早産予防も可能とされている2)。よって本稿では,妊娠・分娩時のPGs生成・分泌動態とそれの分娩発来に与かる意義とについて,以下にそのあらましを述べる。
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