私と読書
月経を通して女の生き方を考える—「女たちのリズム」 女たちのリズム編集グループ編
小野 清美
1
1千葉県立衛生短期大学看護学科
pp.786-787
発行日 1982年9月25日
Published Date 1982/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206094
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- 文献概要
月経・分娩・閉経に関する本の大半は,医師・助産婦・保健婦などのように,医療従事者により執筆されているものが多い。また,その内容も生理・解剖や摂生・処置・保健指導などのような学習書的な要素が強いのに比べて,この本は月経に対する学習書ではなく,月経そのものに焦点をあてそれにメスを入れて,種々の課題を提起している書物といえよう。
私が驚いているのは,月経についての幾多の内容に対して,4,000人もの女性たち,しかも13歳から80歳までにわたる幅広い年齢層の方々がくわしくアンケートに回答しているということだ。というのは,私自身も月経にまつわる話を聞き取り調査した経験があるが,調査する者と対象者との親密感が生じない限り,なかなかこうした話はすすまないからである。しかし,緒言で述べられているように,多数の質問項目と詳細な質問内容であったにもかかわらず,明確に書きこまれた回答が返信されてきたという。このことから推測すると,多くの女性たちが,この間題について訴えたいことや語りたいことをもっていたと考えてよいであろう。アンケートに記された肉声は,読者と同一視点に立脚した執筆者たちの手でまとめられ,女性の生き方やあり方を月経を通して考えていくための貴重な資料となっている。
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