Medical Scope
早産と細菌感染
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.504
発行日 1980年7月25日
Published Date 1980/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205740
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GBS(B群溶連菌 group B streptococcus)をはじめとする胎児,新生児の細菌感染症は,周産期医学者にとって非常に大きな問題です。私達は,それを早く診断して治療するとともに,このような状態が起こらないようにするにはどうしたらよいか,その対策を考えなくてはならないからです。第5回の周産期医学四際シンポジウムでも,この話題が熱心に討論されていました。そのなかから,私の興味をひいた成績と理論を御紹介しようと思います。
細菌感染症の新生児というと,ほとんどが敗血症sepsisと髄膜炎ですが,そうなった新生児を数多く統計的に調べるとおもしろい事実がわかりました。まず,体重別にみると,2,500〜3,000gと成熟児においては,細菌感染症と診断される症例は,明らかに破水後の時間,つまり,破水から分娩に至るまでの時間が長ければ長いほど,その発生率が高くなります。この事実は,成熟児の分娩では,人工破膜して出生した症例と自然破水した症例とを比較すると,自然破水した症例に細菌感染が多く発生するということになります。つまり,自然破水には前早期破水も多く入ってしまうので,当然ながら,破水から胎児娩出までが長くかかっているからです。ところが,2,000g以下の体重の低出生体重児では,人工破膜してから生まれた症例と,自然に破水した症例とでは,両者に細菌感染の差がなくなってしまっています。
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