助産婦事典
微細脳障害症候群
水野 悌一
1
1お茶の水女子大学児童学科
pp.552-554
発行日 1979年8月25日
Published Date 1979/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205589
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1.概念の成立過程と問題点
脳の広汎な障害が成人の知能や運動機能に大きな影響をおよぼすことは,すでに2000年以上も昔から知られていた。しかし,脳損傷による小児の行動異常が注目されたのは,今世紀に入ってからのことである。第1次世界大戦時に流行した脳炎に罹患した小児では,反社会行動,易興奮性,衝動性,多動性などの症状を示すことが小児科医や心理学者によって報告された。
1938年,アメリカの精神医学者のストラウス(Strauss)と心理学者のワーナー(Werner)は,決定的な脳損傷の発見できない精神薄弱児にも行動異常が認められると述べ,ストラウスとレーチネン(Lehtinen)は治療教育の立場から行動異常の対策について報告した。
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