特集 胎盤
胎盤の微細構築—終末絨毛の微細構造を中心に
秋葉 和敬
1
,
水野 正彦
2
Kazuhiro Akiba
1
,
Masahiko Mizuno
2
1国立霞ヶ浦病院産婦人科
2東京大学医学部産婦人科学教室
pp.1037-1043
発行日 1989年11月10日
Published Date 1989/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208102
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
胎児発育の面からみた胎盤の役割は,母体からの栄養素を胎児へ供給する輸送系としての役割を担っており,その機能は発育の律速因子の一つとなっている。血腫絨毛型胎盤(placenta hemocho—rialis)であるヒト胎盤の基本構造は,絨毛膜板と基底脱落膜の間の絨毛間腔に存在する樹枝形態であり(図1),組織学的には母体血の充満する絨毛間腔と胎児循環最末端である胎盤絨毛毛細血管との間に,合胞体性栄養膜,ラングハンス細胞層,絨毛基底膜,絨毛結合組織,毛細血管基底膜,毛細血管内皮層の6層が介在している(図2)。したがって,子宮—胎盤血流量,接触絨毛表面積,拡散到達距離の3者に依存する母児間の物質交換能の主役を成すのは,成熟胎盤においては絨毛最末端単位である終末絨毛であると考えられている。本稿においては,終末絨毛の基本構造とその形態的特徴について,毛細血管構築との関連をまじえて概説を行う。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.