実地臨床手技のエッセンス 分娩管理へのアドバイス
新生児管理—母子相互作用の重視
竹内 徹
1
Tooru Takeuchi
1
1淀川キリスト教病院・小児科
pp.629-633
発行日 1979年8月10日
Published Date 1979/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206087
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1977年12月米国医師会(American Medical As—sociation,AMA)の政策委員会は,出生後の母子結合(mother-infant bonding)の重要性を支持する声明書を採択したことを報告している1)。すなわち同AMA委員会代表は,各病院の医療従事者に対して,病院分娩を人間性にかなったものとする(humanize)ため,必要ならば新しいguidelinesを作製するよう要請している。同声明書は,母子結合の重要性を確認したうえで,母親は(もし分娩に立ち会えば父親も),自分の子どもと生後できるだけ早期から,皮膚接触(skin-to-skin contact)および視覚接触(eye-to-eye contact)を促進するため,可能なかぎり多くの時間を母子(または親子)ともに過ごすことができるよう配慮すべきであることを勧めている。このことは今日米国においてみられる自宅分娩(home delivery)ないし自然分娩(nature birth)を目指した,一部のいきすぎたlayman的運動に対して,歯止めをしようとする努力以上に大きな意味を持っていることはいうまでもない。
わが国においては,施設分娩に対しては古くから母子同室制の管理方式について議論が行なわれてきたが,強調点は,どちらかといえば結局は感染防止や病院管理上に置かれていたことは否定できない。
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