Japanese
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特集 母と子のきずな
母子関係における適応性の限界
The mother-newborn relationship: Limits of apaptability
横尾 京子
1
,
藤井 真理子
2
,
藤村 正哲
3
Besty Lozoff
,
M. Brittenham Gary
,
Mary Anne Transe
,
H. Kennell John
,
H. Klaus Marshall
1淀川キリスト教病院
2大阪府立看護短期大学
3淀川キリスト教病院小児科
pp.564-567
発行日 1978年9月25日
Published Date 1978/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205431
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アメリカにおいて,家族の崩壊や親になることへの不安が増大したことによって,親子関係に影響する診療行為の再検討が必要とされてきた。人間の歴史の大半を通してみると,母子関係の中で,人間の構造機能上,あるいは,行動上で適応さえすれば,児の生存や発育に不可欠な栄養や保護,社会的刺激を受けることができた。今世紀になって,感染予防や身体的障害の治療の目的で周産期医療が導入された結果,死亡率や罹患率は低下した。しかし,こうした恩恵のもとで,予期せぬこととして,母子関係が歪められ,母子間の適応性に破綻を来たすという結果すら招いてしまった。病院でのルティーンは,小児科学・人類学・発達心理学・動物行動学・生理学の研究を通して,人間関係に必要な新生児の能力や新生児期の親子関係の重要性が認識される以前に確立されてしまっていた。家族の崩壊が注目され始めたこの期に,「母子関係における適応性の限界」を研究することは,健康児のケアについて評価できるばかりでなく,分娩障害の予防同様,積極的な早期の母子関係確立のために,病院の方針を科学的基盤のもとに明確化することにもなろう。
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