研究
妊娠中毒症と保健指導—長崎原爆病院の臨床統計から
臼杵 美代子
1
,
下条 洋子
1
,
峰 美千代
1
1長崎原爆病院産婦人科
pp.53-56
発行日 1964年5月1日
Published Date 1964/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202762
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
「妊娠は生理的なものであって,疾病ではない」といわれておりますが,妊娠によって母体はいろいろな変化を受けますので,非妊娠時にくらべると,かずかずの障害がその母体の変化過程において起こりやすいのは当然のことと思います.この妊娠に原因する疾患の中でいちばん頻度が高く,また重要なものに妊娠中毒症があげられることは周知の通りであります.またこの妊娠中毒症には前期の妊娠中毒症と後期のいわゆる晩期妊娠中毒症があります.
これらの妊娠中毒症の中でいちばん問題になるのは晩期妊娠中毒症であって,母子衛生の立場では妊娠中毒症といえばまず晩期妊娠中毒症をさしております.ここに私たちは原爆病院産科における昭和37年度の分娩者から,晩期妊娠中毒症に関する以下のような項目の臨床統計を出してみて,保健指導の必要性,早期発見と早期治療の重要性を再認識させられましたので報告いたします.
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.