研究
グループ指導の実際
鎌田 英夫
1
1鎌田医院
pp.31-32
発行日 1959年8月1日
Published Date 1959/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201733
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映画でお馴染の伊豆の山々,その伊豆の山の中に高原と云う部落がある.伊豆長岡駅から凡そ1時間の行程にある.戦後北は北海道,南は九洲から集つて開拓された部落である.この部落に大勢の子供がいると聞いて私達は家族計画指導に乗り出すことになつた.
2月14日,土曜日,今にも落ちてきそうな空模様である.9時半伊豆長岡駅に集合した.一行は三島保健所の砂山係,大島保健婦,地元の鈴木とよ,室伏,高梨,鈴木の4指導員に自分を加えて7名である.指導員達の肝煎りで1台のジープが用意された.雨がポツポツ落ちてきたが,私達一行7名はジープに乗つた.年の若い屈強な運転手である.長岡駅前を下田街道に出で,左折して反射炉に向う.暫くは平地であるが反射炉に近くなるにつれてジープは登る.山は切り開いて道を作つてあるためにカーブは急で,傾斜も急である.その急なカーブ,急な傾斜を若い運転手は遠慮なくジープを走らせるので乗つている私達7名は生きたそらはない.冷汗と,8名の息でむせかえるよう.登るにつれて雨脚はげしくなつてきた.北側の道路は雪解けでジープが転倒しかねる程であつた.幸い嶺に登ると道は幾分平坦になつて,やがてジープは停つた.一行は安堵の胸を下して一時はただ顔を見合わすのみであつた.運転手に3時に迎えにくる様にたのんで会長さんの家に入る.
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